親が言ったことに子どもが素直に聞いてくれれば、どんなに安心でラクなことでしょう。べつに悪いことを言っているわけでもないのに、素直に従わないのはちょっと理解に苦しみますね。

しかし、親の言うことだけに従っていれば子どもにとって必ず良い未来が開けると自信をもって断言できる方は少ないのではないでしょうか。しかも、大人のいいつけに従順でいるだけだと、この先自分ひとりでやっていけるのか心配になります。今の時代、子どもたちは、自分自身で有益な情報を集め、自分自身で決断して行動する力を身につけなければなりません。本当の素直さというのは、素直であることによって子ども自身に恩恵がある必要があります。

素直さのポイントは2つあります。素直さとは、まず、人の言いつけに従うことではなく、あえてどんな人にも逆らわないで話を聞くことでしょう。どんな話でも先入観を持たずに話を聞くようにすれば、良い情報を取り入れると同時に、悪い情報から学ぶこともあります。どんな話にも耳を傾けることで、自分のためになる情報を選別する力をつけることができます。

次に、素直さとは、自分に関する情報を必要なだけ人に伝えられることです。自分の身体の状況を説明することなく適切な医療を受けることはできません。電話で道順を聞いても自分の居場所を伝えないなら正しい道順を教えてはもらえません。人からアドバイスをもらうとき、今の自分にとって最も大切な情報をもらいたいときは、自分の状況をできるだけ正直に相手に伝える必要があります。

では、素直さというのはどのようにすれば本当に身につくのでしょうか。「人の話をよく聞きなさい」と言っても、ただ聞いているだけでは意味はありませんよね。「自分のことはきちんと人に伝えられるようにしなさい」と言っても、恥ずかしいことなんてとても言えないと思います。

そこで、「人の話をよく聞きなさい」「自分のことはきちんと人に伝えられるようにしなさい」という前に、子どもに教えておくべきことがあります。それは、人は互いに自尊心を大切にし合うことが大切だ、ということが1つです。つまり、お互いに「いいじゃないか」と認め合うことですね。互いに寛容になることが、素直さの土台になります。

もう1つは、自分の考えを自由自在に変えることで、目の前のできごとをよりよく対処することができる、ということです。自分の考えにあまりにこだわりすぎると、かえってストレスを感じることが多くなります。

人が自尊心を互いに大切にし合い、自分の考えを絶えずリニューアルしようという心構えでいると、素直になれる、つまり、人の話を聞いたり自分のことを人に話したりすることが楽しくなってきます。

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